[その3]板倉工法について

近年、伝統工法として採用される板倉工法について。

 

板倉工法とは

板倉工法は元々納屋・倉庫に用いていた物です。
板倉の壁に土壁を更に塗り、倉にした事例もあります。

およそ住宅として建てていた物ではありません。

木曽など中部の山間部に多く、
切り出した材木の有効活用から始まった物と思います。

丸太を製材すれば脇の板材が結構出ます。
この板材を柱と柱の間に落とし込んで
左官を使わずに大工だけで建てることができます。

住宅は通し貫をし、小舞をかいて土壁の作り方としますが、
小屋・納屋は大工だけで合理的に建てようとしたのでしょう。

 

板倉工法の特性

柱と柱の間に板を落とし込む板倉工法は一見強そうに見えますが、
材の拘束は弱く板材が滑りやすいのが難点です。

地震力による変形に板材が滑ってしまい柱を折る(割れる)状態になります。

全体に力が掛かる総持ちの構造ですが、
粘る部材が柱の仕口ぐらいと頼りなく、

変形により柱も折って(割れて)しまうので
修復に多大な手間が掛かります。

二階建ての以上の住宅に使うのは
十分な配慮をした設計が必要です。

柱と柱に板を落としこんでいるので、
大きな地震でも倒壊し難いのは在来工法に無い特性です。

変形していても倒壊しにくいので被災後も住むことが出来るでしょう。

 

板倉工法の弱点

板倉工法は落とし込み板が滑りやすいと書きました。
対策としてダボで板材の滑りを抑えますが、
ダボは回転して滑ってしまいます。

滑らないように長いダボを施工する事例もありますが、
手間が掛かって合理的ではなく
無駄な人件費がかかり現実的ではありません。

試験をして壁倍率の認定を取っていますが、
それは杉板を張って耐震性を確保しています。

材料・手間を掛けて落とし板をしても構造的に弱いのです。

落とし込みの板が経年変化で収縮するのも弱点です。

日本の気候では四季の湿度の変化があり、
木材は収縮の変形を避けることが出来ません。

板材は反りもでます。

構造として重要な板が収縮や反っては
いざというときに十分な耐力を保てません。

反っていた場合どこまで変形が大きくなるか不安を持っています。

また、板倉工法は壁に板を落としこむので、
壁の断熱材を十分に入れるのが難しいです。

板の断熱性は普通の断熱材の半分、
3cmの板でも、断熱材1.5cm分です。

板を落とし込んだ残りがおおむね4.5cm程度、
全部足しても1.5+4.5=6.0cm

ウレタン系の薄くても熱抵抗がしっかりある材料を
つかうなどして性能を確保したほうが良いです。

 

板倉工法の活用

板倉工法の活用ですが、元々納屋・倉に用いていたことを認識し、
二階建てには使わないのが賢明と思います。

野菜や穀物の倉庫としては調湿性・ほどよい通気性から
プレハブ倉庫より保存性の良いと期待できます。
(関係機関の研究を期待します)

平屋の住宅であれば耐震性もある家づくりに活用できるかもしれません。

H26.3.19改定